イラクに自衛隊が派兵された。

1月22日、小牧基地から航空自衛隊本隊110名が出兵した。2月には呉基地から海上自衛隊本隊、2、3月には陸上自衛隊本隊が出兵するという。

時の首相・小泉純一郎は「戦争をしにいくのではない。復興支援だ」だとウソ八百を並べている。だが、エジプトのイスラム政治勢力でイスラム世界にネットワークを持つ「ムスリム同胞団」のムハンマド・アキフ団長は「この時期に米国の占領に協力するのは、誤った決定」「日本が占領軍であることに変わりはない。民衆にとって日本であれ、他国の軍隊であれ区別はない」と言い切っている。

戦争は終わったのか。イラクは安定したのか。否、全く否だ。イラクの民衆は「イラクのことはイラク人が決める」と占領軍を撤退させるためにレジスタンス(抵抗運動)に立ち上がっている。この闘いは占領軍が撤退するまで粘り強く、広範に、そして激しく闘われるであろう。すでに世界の民衆はベトナムでの民族解放闘争を勝利として経験している。イラクは占領軍によっては「平定」されないことをG・W・ブッシュは、T・ブレアは、そして何よりも小泉純一郎は後悔とともに体感するに違いない。

そもそも、イラク侵略戦争に大儀がないことは国際的に明らかになっている。ブッシュとネオコンは発足当時から「イラクからフセインを取り除く必要があるという信念があった」(オニール前財務長官)という。実際、アメリカ軍がイラクを占領してからすでに9カ月以上たつが、大量破壊兵器は発見されていない。アメリカ調査団団長として大量破壊兵器の捜索に当たってきたデビット・ケイは1月23日に辞任したが、「イラク戦争が始まった段階で、生物・化学兵器の備蓄があったとは思えない」と語っている。

むしろイラクにおいて大量破壊兵器を使ったのはアメリカ・イギリス軍である。その典型が劣化ウラン弾の使用。半滅期45億年の核物質に汚染され、無差別爆撃により焦土と化したイラク大地にどれほどの悲しみと怒りが埋まっていることだろうか。

侵略戦争を仕掛けておいて反撃があれば「テロ」だとして非難する。はじめに「テロ反対」あり、という反戦運動内部にも色濃く染みついているこうした視点を転換する必要がある。

反戦・反弾圧を!

戦争下においては、言論の自由はいちじるしく制限される。すでにそうした動きははじまっている。日々の暮らしにも戦時色は忍び寄っている。イラク派兵の焦点たる陸上自衛隊第11師団(司令部・札幌市)の竹田治朗師団長は「さっぽろ雪まつり」への協力をめぐり「度が過ぎた」派兵反対のデモや街頭活動があった場合、「撤収も含めて検討する」と発言した。また、防衛庁の北原巌男官房長は、他省庁と比べて会見数が多すぎる、質問数が少ない会見があるとして定例の記者会見を大幅に縮小すると発表した。

イラク派兵反対の動きにたいしては更に露骨である。実際、デモに対する警備は厳しくなっている。反戦運動を潰すために軽犯罪法違反、免状不実記載といった「犯罪を捏造する」やり方の弾圧が強まっている。逮捕弾圧には完全黙秘・非転向で闘うと 同時に大衆的な反撃にでる必要があるだろう。デモに対する監視行動、過剰警備などあらゆる弾圧に抗議行動を積み重ね粘り強く反撃していこう。

こうした治安弾圧政策の1つのポイントこそ共謀罪の新設である。法務省は1月19日開会した第159通常国会に、共謀罪新設、強制執行妨害罪重罰化に加えてサイバー犯罪対策法の内容を一括化した「犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対するための刑法等の一部を改正する法律案(仮称)」を性懲りもなく提出するという。今国会が問題ある法案のラッシュになることは間違いない。有事関連五法案(国民保護法案、米軍支援法案、捕虜取り扱い法制、非人道的行為処罰法制、電波・航空機・船舶制限法制)、年金改悪法案、労組法改悪法案、(憲法改悪のための)国民投票法案、北朝鮮に対する経済制裁法案、共謀罪新設、サイバー犯罪条約の批准、「司法改革」関連法案、警察法改悪・増強、入管法改悪、暴対法改悪と枚挙にいとまがない。

また、警察庁は「緊急治安対策プログラム」を昨年8月に発表し、3ヵ年計画で念願の警察大増強を行おうとしている。小泉政権は昨年12月の犯罪対策閣僚会議で、刑法の抜本的改悪を法制審議会に諮問することを決定した。今159通常国会は、戦後最大の治安立法国会となろうとしている。

だが、159通常国会は参議院議員選挙があとに控えているため、延長ができない。小泉政権も限られた時間の中で、重要法案を成立させるというアクロバットを強いられている。勝機は充分ある。全力をあげた反撃で小泉政権を追いつめよう。

イラク派兵Noの声を!

イラク情勢は激しく動いている。世界中の民衆も動いている。アメリカのA・N・S・W・E・Rは3月20日に世界統一行動を呼びかけている。統一スローガンは、「兵士を直ちに祖国に帰せ!」、「イラク、パレスチナ、そして全世界の植民地主義的占領をやめよ!」、「市民的自由への攻撃をやめよ!」そして「資金を雇用対策、教育、保健衛生、住居に向け、戦争には使うな!」。

日本でも陸・海・空・港湾労組20団体が「有事法制の先取りとなる自衛隊のイラク派遣に反対する共同アピール」を発し、創価学会有志である「イラク派兵に反対し平和憲法を守る会」がイラク派兵反対の署名運動を開始し、1月21日、1800名余りの署名を公明党に提出した。

全国各地で創意工夫に満ちた行動があり、心に染みる呼びかけある。アジアプレスのジャーナリストの男性は仙台で行われたイラク派兵反対集会で「イラクの人たちは日本軍が来ることを望んでいない。自衛隊が行っても、占領軍と一体になることは間違いない」「開戦直後にイラク入りして、若者たちが集まっている所で話を聞いている時、一人の若者が、自分の手を握手するポーズをとって、わたしに言ったのです。“お前たち日本人はブッシュと手を組んだ”と。背筋に寒いものが走りました。日本はここまできてしまったんだと」と訴えた。

小平市に住む女性は「イラク派兵反対の署名を拒む夫と大論争を行った」「米国の政策が間違っていたとしても米国の言いなりならなければならないのだろうか」、「自衛隊、つまり、我々日本人が他国民を殺すようになることを、私は最も恐れている」(朝日新聞1月14日付声欄)と投書した。

また、小泉が「戦争ではなく復興支援だ」とハッタリをかまそうとしたカタールの衛星テレビ局・アルジャジーラの経済部長には「今や、自衛隊を派遣しようとしている日本がこのままイラクへの関与を強めれば、他の西洋諸国と同じとは見られないにせよ、アジアの強国が別のやり方て足場を築こうとしていると思われてしまう」と見透かされている。

救援連絡センターは、今年で設立35年となる。ベトナム反戦運動、大学闘争、安保・沖縄闘争の激動の渦中で産声をあげたセンターはまた原点にもどりつつある。4月には、35周年集会を開催する。反戦と反弾圧は一体だ。イラク開戦1周年の「3・20」、世界中で様々な団体・個人が世界統一行動を行う。日本でも数十万人の民衆のうねりが起きるであろう。再び15年戦争を繰り返さないために、気持ちも新たに反戦・反治安法・反弾圧の戦線を粘り強く作り上げていこう。