有事立法攻撃がかけられ戦争に向けた態勢が準備されている現在、「病者」や「障害者」への差別・抹殺の動きはますます強まっています。
特に昨年6月に起きた池田小事件をきっかけに起きた「「病者」は危険な存在だから、地域から隔離してしまえ」とする差別キャンペーンを背景に小泉政権は一気に保安処分新設に突き進んできました。保安処分については70年代の刑法改悪・保安処分新設攻撃以来繰り返し策動されながらも「病者」を先頭とした粘り強い闘いによって阻止してきました。その間にも精神科救急や処遇困難者専門病棟構想が出されたり、強制移送システムが作られるなど精神医療をめぐっては保安処分導入への準備が着々と進められてきました。また精神衛生法が精神保健法となり精神保健福祉法となっていく過程でも、措置入院制度が保安処分的に運用されてきた現実があります。一貫しているのは精神医療を治安維持の道具にしていくという攻撃なのです。
先の国会に上程された保安処分新法(「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」)はまさにこれまでは反対の声が強くてなかなか実現できなかった保安処分制度を一挙に法制度化しようとするものに他なりません。
これに対しては、まず3月の国会上程以降、集会やデモ、国会前の座り込み、地域でのビラまきなど、「病者」を先頭とした全国的な反対運動によって、強行成立を断念させるまでに追い込みました。しかし10月18日から始まった臨時国会で、政府は何としても保安処分新法を成立させようとしており予断を許さない状況が続いています。
この法案には次のような問題点があります。
- 現行法の措置入院は2人の精神科医が「自傷他害のおそれがある」と判断すれば、強制的に入院させることができます。その弊害として患者への人権侵害や長期入院の問題が出てきています。その上に新法では裁判官と精神科医が合議して再犯のおそれを判断し強制的に入院させようとしているのです。さらに治安主義的観点から、一生隔離される危険性が高くなります。
- 再犯のおそれを判断することは不可能です。にもかかわらず「病者」の犯罪だけが予測できるとすることは差別に他なりません。
- この法案は当事者である「病者」に不利益処分を強制するにもかかわらず、医 療が目的なのだから人権侵害ではないとか、弁護権や防御権など十分な手続きの保障がなくてもいいとされています。「医療」を口実とした処分であり人権侵害であることは明白です。
- 新法では医療の内容は明文化されていませんが、電気ショックやベッド拘束、 薬づけなどが行われ、病棟も厳重隔離で重装備なものになることは確実です。入院施設が限られるため家族や友人との面会も制限されることが予想されます。
- 日本の精神医療の劣悪さは他科に比べて医師や看護人の数が少なくてもいいとする精神科特例が背景にあり、これは長年隔離・収容型医療を政策として行ってきた厚生省の責任です。全国で33万人もの入院患者がいて、そのうちの1万7千人は20年以上も入院させられています。新法はこの現実に拍車をかけようとしているのです。
保安処分新法は「病者」差別を助長し、社会からの隔離を強めるものです。新法の成立を阻止し、「病者」が地域で安心して暮らせる社会をめざしていこうで はありませんか。